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七年間の足の変化は七変化

base works 高知までの道のり、香美市 土佐山田町から香北町、物部町に向かう 国道195号沿いのアジサイが 綺麗に咲いています。

通るたびに、色々な表情で 楽しませてくれる 道のりです。

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さて、今回は 7年前にお作りした注文靴、モカシンブーツの 修理・メンテナンスのご紹介です。

「とても履きやすい、長く歩いても疲れにくい! 」とご愛用いただいていましたが、

底周りのステッチがほつれたり、

歩いている時の足の癖が 靴にあらわれて、革の伸びなどの 経年変化が感じられます。

歩いている時の癖も、右足の方が 外側に傾きが 大きいことが わかります。

以前のソールは、天然クレープ素材でお作りし、減ったカカト部分を 数回に渡り 修理していました。

天然クレープ素材の良いところは、柔らかく クッション性があるところですが、

こちらの右足のように、傾きが大きくなってしまう方(歩いている時の足のブレが大きい方)には柔らかすぎて、靴にねじれが 出てきてしまっていました。

今回のソール修理は、ソール素材を少し硬めの しっかりとした材質に変更し、安定感を出してゆきたいと思います。

外側への傾きの 大きかった 右足の 靴底の方が 外側の消耗が 大きようです。

中敷を みて見ると、少し甲の革が 伸びたことで、足の 前足部に 負担が出て、指先で 踏ん張ってしまっていることが わかりますが、足の指を しっかり使って 歩けているようで、指の跡も くっきり見えます。

歩く時に カカトから 接地しづらく 足の前足部で ぴょんと 蹴り上げて 歩く癖があるため、指の付け根あたりに 負担が出やすいようです。

足の形は 大人になったら 変わらないと 思いがちですが、

足に合う靴を 履いていると、足は 健康的に 変わってゆくことが よくあります。

逆に、足のカタチを 無視した 合わない靴を履いていると、外反母趾など、足を 不健康に 変形させてしまうことも。

まず こちらは、2010年12月にお取りした ご本人のフットプリントです。

全体として ハイアーチ気味で、足裏の地面への 接地面積が とても狭い 特徴があります。

特に、左足よりも 右足の方が 内側の土踏まずがより高く、接地面積が 小さく 不安定な特徴があります。

靴のソールも、右足の方が 傾きと減りが 大きかったですね。

さて、こちらが 2017年 6月 現在の 足の状態です。

以前の 足のカタチに比べると、明らかに 指がしっかり 開いてきていることが わかります。

以前は いくらやっても 開かなかった足の指が しっかりと開くようになり、指を使って歩ける意識が 持てるようになったそうです。

足にあった靴を 7年間 履き、嬉しいことに、足のカタチが 健康的に変化してきたことが 見て取れます。

ただ、足にあった靴を履いている時は 良いのですが、長靴など ゆるい靴を履いた時は、数分歩いただけで 足の指の付け根が 痛くなるそうです。

足に合わない靴や つま先の狭い靴、ゆるすぎる 大きいサイズの靴を履いていると、足の指は知らず知らずのうちに 縮こまってしまいます。

ゆるすぎる靴は 履いた瞬間は 指先が楽に感じますが、歩いていると、逆に 靴の中で足がつま先の方へ滑って 足先は窮屈になり、カカトはカパカパと抜けてしまいがちです。

すると指先は、靴が脱げないように 踏ん張ってしまい、足の指 本来の役割が果たしにくくなってきます。

人間の足の指は、立ったり歩いたりする時に 体を支え、体重をスムーズに移動させたり、バランサーの 役目をしてくれています。

また 足の指を 使わずに歩くと、血流が滞り、足先が 冷たくなってしまいます。

足先が 冷たい 冷え性の方は、足と 靴の関係を 見直して見ると、改善しやすいのではないかと思います。

指先を しっかり正しく使って 滞っている 血を心臓へ戻し、血流を 活性化できるような 靴を履いていただきたいです。

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ちなみに、足の 変化を著しく感じている 私自身の足 のことも 紹介もしたいと思います。

こちらは、2008年 の4月の 私のフットプリント になります。

まだ 自分の足に 合う靴がよく分からず、自分で 靴を作っていなかったころの足です。

10代後半 〜 20代前半は、先の細いパンプスや ハイヒールも履いていましたし、ヒールのない靴でも ゆるすぎる靴を ブカブカと履いていました。

親指の付け根が痛くなったり、すぐ 靴を脱ぎたくなったり、長時間 歩くことが 苦手でした。

スニーカーなどの ひもの靴を履いても、靴ひもを 足が入るくらいに緩めておいて、脱ぎ履きの時には ひもは結ばず スポッと履いておりました・・・

長年、合わない靴を 履いてきたことが たたり、外反母趾気味になっております。

また、指先のプリントが 写っておらず、指をあまり使わずに 歩いていることがわかります。

この頃は 冷え性で、着込んでも着込んでも寒く、血流も悪かったので 体調も思わしくなく、体が冷えているので、心もストレスを 抱えやすかったように思います。

【 2008年 】

足長 右 23.9cm

左 24.1cm

足囲 右 23.0cm

  左 22.5cm

JIS規格でいうところの 右足D 〜 E、左足C 〜 Dの幅の細めの足です。

足裏の 土踏まずが 高い ハイアーチで、ハイヒールや、大きすぎる靴を履いていたために 靴の中で 足が 前足部荷重と なることが多く、横のアーチに負担がかかり、低下している開張足の状態です。

開張足は、外反母趾の原因 となってしまいます。

さて、時は流れ・・・9年目の変化をみて見ましょう。

ちょうど 9年ほど前から 足に合う靴を意識して履き始めました。

2010年から 自分の靴を作るようになりましたので、足に吸い付くような ぴったりとした靴を履くようになって 7年目になります。

【 2017年 6月現在 】

足長 右 23.9cm

左 23.9cm

足囲 右 22.8cm

  左 21.8cm

JIS規格でいうところの 右足D、左足B 〜 Cの幅と、右足も左足も さらに細めに 変化しました。

足に合う靴を 履き始めた私の足に、どんな変化が おこったのでしょうか?

私の足の指も、しっかりと開くようになっており、指の接地が プリントに写るようになりました。(右足の小指は 相変わらず 浮き指 ですが・・・)

歩く時の 指の使い方が 上手くなったようです。

また、足囲が 細くなったことについては、足裏の土踏まず、横のアーチが 形成されてきたことがわかります。

イメージで言うと、

広がって低下していた横のアーチ・・・

このように 扁平の状態でしたが・・・・

横のアーチがまた形成され始めたことで・・・

足の前足部の足のクッション・バネが復活してきた と言うところでしょうか♫

つぶれて低下していた 横のアーチが、本来の足の形に 近づき戻ってきたので、

足の足囲も、本来の 足のカタチに近づき、足囲が 小さくなってきたのです。

また、開張足が 改善してきたことで、外反母趾気味だった足も 改善に向かっております。

実際、あれほど悩んでいた冷え性も解消、血流も活性化され、歩くことが大好きになりました。

また、体温が高くなり、体調を崩すことや、心がストレスを 抱えることも めっきり減りました。

もちろん、靴ひもは 脱ぎ履きの際にはしっかりほどいて、しっかり結ぶようになりました!

足に合う靴を履いただけ・・・ですが、嬉しい 足と 体と 心の変化に 本当に驚いています。

「健康は足元から」とはよく言ったものですね。

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さて、靴の修理・メンテナンスのお話に戻ります。

数年 履いてきて 現れた靴の癖と、足の特徴、足の形の変化 を踏まえて、今回の 修理 ・メンテナンスの方向性が決まりました。

いよいよ 改良の始まりです。

甲の部分の革の ステッチを ほどいてゆきます。

甲部分の革に、足の指の形がくっきり写っています。

歩く時に しっかり指が使えているようですが、足の形の 変化によって 少し指先が 窮屈そうです。

以前の足の形に 合わせてお作りした、オーダーメイドの木型【 Last 】。

足の指が開き、しっかり使えるようになり、足の形が健康的に 変化してきた今の足には、少々指先の形状が 窮屈になってきたようです。

さらに 気持ちよく 歩いていただけるよう、木型も 今の足の形に合わせて 修正をかけてゆきます。

今回は、親指と小指側にのせ甲を加え、より 前足部の接地面積を増やし 安定感を出し、指を動かせるスペースを確保しました。

カカト周りはしっかり木型をしぼってありますので、足首周りのぐらつきを抑え、安定感もある木型になっています。

お次は ソールを剥がして

底面の釘も 外してゆきます。

木型に 吊り込んだ状態の 全体バランスを 確認してゆきます。

工房のお仲間も 真剣に かくれんぼしながら

一緒に 作業のお手伝い? してくれます・・・・💦

靴に 傾きが出ていましたので、足の癖を より支えられるよう

カカト部分に しっかり芯を入れ直して 固めてゆきます。

甲の部分の 革は伸びが大きかったため、今回は 交換してゆきます。

モカ部分を 針と 糸でかがって・・・

引っ張って ギャザーを寄せ つま先部分の革を まとめてゆきます。

カカトに入れた芯が 固まったら、お次は ソール修理です。

前回(7年前)とは素材を変えて、ビルケンシュトックのソールに 張り替えて ゆきます。

天然クレープ素材より 硬さがあり、ブレにくく 安定感があります。

柔らかい底、かたい底はそれぞれ 一長一短があります。

足の状態や 靴の用途に合わせて 試せるのも、手作り靴の 良いところかもしれません。

ソールを 張り替え・・・・

中敷も 滑りにくいスエードに変え、足の癖に合わせて インソールも 調整しました。

こちらは ドイツ製の 中敷専用のスエードです。

起毛素材なので、靴の中で足がブレたり前滑りしにくく、グリップがよく、安定感が出やすいという特徴があります。

靴ひもも リフレッシュ。

靴クリームで お手入れして、今回の修理メンテナンス 完了 です。

後ろからみても、靴の傾きが 修正されています。

足は、良くも 悪くも、日々 変化して ゆきます。

その時、その時の足状態に合わせて、革や作り方、芯の支え方や ソール素材や形状、木型のバランスなどを選び、足への支え方も変化させてゆける、

手作りクツは 本当に 面白い!

と改めて感じさせていただいた 今回の 修理・メンテナンスでした。

また 履いていて、足や 靴に 変化が出てきたら、何回でも 改善してゆくことができます。

その時まで 足元をしっかり 支えてくれますように!

by base works Asako Katsumi

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