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靴を履くと足が痛くなる方の靴をつくる

文旦の花が咲いて 晴れやかな空 

さて、これから9足目をつくる生徒さん。

ご自分の靴、娘さんの靴をつくったお次は、高校時代の同級生につくることになりました。

ちなみに同級生の奥さまはご自分のクツをつくります。

同級生の方はなんと毎日下駄をご愛用。(写真 右)

30年間靴をほとんど履いたことはなかったそうです。

靴をはくと左足の中足骨あたりに違和感があり、痛くて靴が履けなかったそうです。

靴をはいても2時間ほどが限度、

これではお出かけは難しそうです。

とにかく、痛くて履ける靴がないので、冠婚葬祭にも履けるシンプルな外羽根の短靴をつくることになりました。

まずは、靴がはけるか⁇

ということで仮靴に仮底をつけて

歩いてみることになりました。

この方は

歩くときにあおりや蹴り出しの動きがでると中足骨に痛みが走るので、スムーズに体重移動ができるローリングタイプのソール形状をお勧めしました。

仮靴なので、強度的にしっかり足を支えることは難しいですが、それでもこれなら履いて歩けそう、ということで本番の靴をつくってみることになりました。

まずはアッパーを組み立ててゆきます。

ミシンで製甲しています。

中底をグラインダーで削ります。

普段つくる靴はボール部分(足の指の付け根あたり)で屈曲するようにつくることが多いのですが、

今回はボール部分を曲げると痛みがありましたので、なるべく屈曲しないようにつくります。

裸足感覚で履く、足をたくさん動かして鍛える靴や

足を守って、疲れにくくしっかり支える靴。

手でつくると、同じように見える靴も、芯の入れ方や固さ、ソールの作り方など、目的と履く人の足に合わせていかようにもつくれます。 

踵に入れた芯を固めるための吊り込みです。

つま先部分も吊り込みます。

ソール周りの準備です。

ローリングソールを積んで貼り合わせてゆきます。

圧着機でソールを圧着します。

底周りをグラインダーで仕上げてゆきます。

コバにインクを塗って、磨いて

コバのバリをヘリ落とししてゆきます。

さあいよいよ完成です。

ご本人に履いて歩いてもらいます。

何回か室内を歩いてみて、気になる点を改善してゆきます。

これなら1日靴を履いて歩けそう!

とのお言葉をいただき、お渡しになりました。

靴は出来上がっておわりではなく、実は履いてみてからがスタートです。

履いてみて、歩いてみて、

ご自身の足の変化を感じながら、革の伸びや底の減りなどの靴の経年変化を調整修理しながら、

足と靴のよい関係を保ってゆけたらと思います。

ちなみに、こちらの靴を履いた方は石などを素材として作品をつくる作家さん。

今回は靴をつくってもらうかわりに、珊瑚のブローチをご自身で削り出して作り、お礼にプレゼントされたそうです。

こちらのブローチもとっても素敵ですね。

その後、お家に帰られて、

奥さまもご自身でつくった靴を履いて、

お揃いの靴で、ご近所を散歩したそうです。

自分でつくった靴、

〇〇年来のご友人のつくった靴。

身の回りの人が作る靴、

良いですね!

by base works Asako Katsumi

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